歯医者でうがいは何回するの?治療中にうがいを促される理由と注意点
歯医者で治療を受けていると、「うがいしてください」と何度か声をかけられることがあります。なぜ何回も促されるのか、気になったことはありませんか?実は、うがいには単なる「口をすすぐ」以上の意味があります。治療中のうがいは、患者様の安全と治療の精度を高めるために欠かせない工程です。
しかし、タイミングや回数を誤ると、かえって治りを遅らせてしまうこともあります。今回は、歯医者でうがいを促される理由や回数の目安、治療内容別の注意点について、歯科医師の立場からわかりやすく解説します。
歯医者でうがいを促されるのはなぜ?
口の中を清潔に保つため

治療中には、削った歯のかけら、唾液、血液、薬剤などが口の中にたまります。これを放置すると誤って飲み込む危険があるだけでなく、口の中が汚れた状態では正確な治療ができません。うがいを促すのは、口腔内を清潔に保ち、患者様の安全を守るためです。
治療の精度を保つため
歯科治療では、細かい作業を正確に行う必要があります。口の中が見えにくい状態では、詰め物の適合や噛み合わせの調整が難しくなります。うがいで水分や削りカスを除去することで、治療部位の視界が保たれ、精度の高い処置につながります。
不快感を軽減するため
長時間口を開けたままの治療は、唾液や薬剤がたまり不快に感じやすいものです。適度にうがいを行うことで、口の中をリセットし、リラックスした状態で治療を続けられるようになります。特に子供や歯医者が苦手な方にとって、うがいは気分転換にもなります。
うがいの回数に決まりはある?
「歯医者でうがいは何回するの?」という疑問については、実は明確な回数の決まりはありません。治療内容や患者様の状態によって異なります。
たとえば、虫歯の治療では削った粉や水分を洗い流すために1〜2回うがいをお願いすることがあります。一方、歯茎の治療や抜歯などの外科処置では、出血や薬剤の残留を防ぐため、数回うがいを促すケースもあります。
治療内容別・うがいの目的と注意点

治療の内容によって、うがいの目的や注意点には少しずつ違いがあります。歯医者で行ううがいは単なる「口をすすぐ」行為ではなく、治療の安全性や効果を高める大切なステップなのです。
虫歯治療の場合
虫歯を削る際には、歯の削りかすや水分、薬剤などが口の中に残ります。そのままでは不快感が残るうえ、視野が妨げられて正確な治療が難しくなることもあります。うがいを行うことで、削りかすや薬剤を洗い流し、清潔で見通しの良い状態を保つことができます。
また、詰め物や被せ物を接着する前後には、うがいを控えるよう指示される場合があります。これは、接着剤や薬剤の効果をしっかり発揮させるための配慮です。治療の流れに合わせて、歯科医師の指示どおりにうがいを行うことが、仕上がりの精度にもつながります。
歯石除去・歯茎の治療の場合
歯石除去や歯周病治療の際には、歯茎から出血が見られることがあります。うがいをすることで、血液や細菌、歯石の残りを洗い流し、感染を防ぐ効果があります。ただし、強くうがいをすると、出血が再び起きたり治療部位が刺激されたりすることがあります。治療直後は、口を軽くすすぐ程度のやさしいうがいが理想的です。
また、治療後に処方されるうがい薬(洗口剤)は、歯茎の炎症を抑える効果がありますが、使用頻度や濃度を守ることが大切です。濃いまま使いすぎると、口腔内が乾燥してしまうこともあるため、指示された方法で適切に使用しましょう。
抜歯・外科処置後の場合
抜歯や外科的な処置のあとは、傷口から出血を止めるために「血餅(けっぺい)」と呼ばれる血のかたまりができます。これは、歯茎の傷を保護し、自然治癒を助ける大切な役割を持っています。
しかし、強いうがいをするとこの血餅が流れ落ちてしまい、治りが悪くなることがあります。さらに、「ドライソケット」と呼ばれる強い痛みを伴う炎症を起こすおそれもあります。そのため、抜歯当日はうがいを控えめにし、翌日以降にぬるま湯でやさしくすすぐ程度にしましょう。お子様の場合は、うがいの力加減が強すぎることがあるため、保護者がそばで見守りながらサポートしてあげると安心です。
まとめとしてのポイント
- 虫歯治療では、治療精度を高めるための清掃目的
- 歯茎の治療では、出血部位を刺激しないやさしいうがい
- 抜歯後は、血餅を守るために当日のうがいは最小限に
このように、うがいは治療の種類によって意味もタイミングも異なります。歯科医師の指示に従い、適切に行うことが治療効果を高める最善の方法です。

うがいのしすぎは逆効果?気をつけたいポイント
うがいは治療をサポートする大切な行為ですが、やりすぎると逆効果になる場合があります。
治療効果を弱めてしまうことがある
歯科で使われる薬剤には、患部に一定時間とどまることで効果を発揮するものもあります。うがいを何回も繰り返すと、それらの薬剤が洗い流されてしまい、治療効果が十分に得られないことも。歯科医師が指示するタイミング以外では、むやみにうがいをしないようにしましょう。
抜歯後や歯茎治療後は特に注意
抜歯後や歯茎の外科的処置のあとにうがいをしすぎると、止血が遅れたり、傷口が開いたりすることがあります。これは治癒の妨げになるだけでなく、感染リスクを高めることにもつながります。処置当日は、水を軽く含んで口の中を動かさずに吐き出す程度にとどめるのが安全です。
正しいうがい方法のポイント
- 強くブクブクしすぎない
- 指示があるまではうがいを我慢する
- 処置後はうがい薬の濃度・回数を守る
- 子供の場合は保護者がサポートする
まとめ
今回は、歯医者でうがいは何回するの?という疑問にお答えしました。歯医者でのうがいは、治療を正確かつ快適に進めるために欠かせない工程です。うがいの回数に決まった基準はなく、治療内容や患者様の状態によって異なります。
大切なのは、歯科医師の指示を守り、適切なタイミングと方法で行うことです。うがいのしすぎは逆効果になることもあるため、自己判断は避けた方が安心です。わからないことがあれば、その都度歯科医師に確認しながら、安心して治療を受けてください。