RECURRENCE OF TOOTH DECAY 一度むし歯になった歯は再発しやすい
治療が終わってから年月が経つと、接着剤の劣化やつめ物・かぶせ物の素材劣化などの理由から、つめ物と歯の間やかぶせ物と歯茎の間に微妙なすき間ができ、このすき間からむし歯が再発してしまいます。これを「2次カリエス」といいます。2次カリエスになってしまった歯は、治療を繰り返すたびに小さくなっていき、最終的には抜かなくてはいけなくなることもあります。
TO PREVENT RECURRENCE 2次カリエス(むし歯の再発)を防ぐためには
2次カリエスを防ぐためには、むし歯の原因となる「すき間」をできるだけ作らない治療を行うことが必要です。ただし、これはあくまでも再発の可能性を低くするためで、“絶対にむし歯にならない”というわけではありません。
精度の高い診療を行った上で適切な素材を使用し、毎日のセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアを継続していくことが大切です。
精密な診療
- マイクロスコープや拡大鏡などを使った治療の精密さ
- つめ物、かぶせ物の型取りの精密さ
- つめ物、かぶせ物の製作の精密さ
劣化しない素材選び
- 経年的に変形しない、腐食しない素材
- 歯垢がつきにくい素材
MATERIAL SELECTION むし歯になりにくい素材選びとは?
むし歯の治療を繰り返さないためには、劣化や変形が少なく、汚れが付きにくい素材を選ぶことも重要です。歯に使う素材は大きく分類するとプラスチック(レジン)系、金属系、セラミック系があります。このうちプラスチック(レジン)系とセラミック系は見た目は白い歯になりますが、当院では、見た目だけでなく、むし歯になりにくい特長を持つセラミック系をおすすめしています。
セラミックの特徴
01 CERAMIC 装着時の美しさが長く続く
セラミックの最大の特徴は、美しい白さが長く続くことです。年数が経過しても、プラスチックのような変色はほとんどありません。
※変色には個人差があります。
02 CERAMIC 劣化や変形がほとんどない
プラスチックは、歯ブラシでこするだけでも傷が付きますが、セラミックならそのような心配はありません。
※摩耗には個人差があります。
03 CERAMIC 汚れが付きにくく、むし歯や歯周病になりにくい
表面を顕微鏡で拡大して見ると、プラスチックはスポンジのように穴があいているため、むし歯や歯周病の原因となる細菌(プラーク)が付きやすい構造に対し、セラミックは滑らかでプラークが付きにくい構造になっています。
ABOUT ZIRCONIA どんな部位でも、インレーでもクラウンでもOK「ジルコニア」
ジルコニアは、人工ダイヤモンドとも呼ばれ、硬さが天然歯の3倍以上もあり、セラミック系素材の中で最も強度が高い素材です。「強さ」と「美しさ」の両方を兼ね備えているので、すべての方におすすめできます。特に、歯ぎしりや噛む力が強い方には必須の素材です。
ジルコニアは、白く美しいのですがそのまま使うと単色で透明感がなく、天然の歯との違いが目立ってしまいます。奥歯の見えない部位では問題ありませんが、前歯など見える部位に使用する場合は、グラデーションやレイヤリングといった加工を施すと、より自然な見た目を再現することができます。
グラデーションとは
グラデーション加工されたジルコニアブロックから、患者さんの歯の色に近い部分を削り出して作製する方法です。単色のジルコニアに比べて自然に見える色を再現することができます。
レイヤリングとは
強度の高いジルコニアでフレームを作製し、その上に専用のセラミックを何層にも重ねて加工する方法です。患者さん一人一人の歯の色をもとに作製するため、より自分の歯に近い歯を再現することができます。
OTHER MATERIALS 見た目や歯の役割に応じて選ぶ「e-maxとチタン」
見た目が天然の歯に近い「e-maxオールセラミック」
e-maxオールセラミックは、透明度のある白さが特徴で天然歯と同じくらいの硬さを持ちます。ジルコニアに比べて強度が弱く、強い衝撃を受けると割れやすいため、前歯部におすすめの素材です。
白い歯で費用が最も安い「ハイブリッドセラミック」
ハイブリッドセラミックは、プラスチックにセラミックを混ぜて硬くした歯科樹脂です。硬さはセラミックより柔らかく、色はプラスチックより優れています。劣化が早く変色しやすい、ため、当院ではあまりおすすめしていませんが、小臼歯であれば使用可能な素材です。
金属アレルギーの心配がない「チタン」
チタンは生体親和性が高い金属で、人工関節などにも使用されており、金属アレルギーの心配がない金属です。費用を安く抑えたい場合には、審美的に問題のない大臼歯におすすめの素材です。
ABOUT FIBER CORE 人工の土台(コア)で残った歯を補強する「ファイバーコア」
コア(土台)とは?
大きなむし歯や歯の破折、再治療などにより、歯に十分な量の歯質が残っていない場合には、人工の土台(コア)で歯を補強する必要があります。歯質があまり残っていない歯にかぶせ物をつけても、すぐに取れたり、残っている歯が割れたりしてしまうからです。
「ファイバーコア」とは、ガラス繊維強化樹脂という新しい素材を使用したコアです。弾力と耐久性があり天然の歯のようにしなやかな素材です。折れにくいだけでなく金属を一切使用していないため、人体にも優しいという特徴があります。
また、審美性に優れている点も大きな特徴です。光を通さない金属のコアと違い、ファイバーコアは本体の色が白く、光の透過性を持っています。そのためコアの上からセラミックなどの被せ物をした際も本物の歯のように透明感のあるキレイな歯が再現できます。
COMPARISON BY MATERIAL 素材ごとの比較
クラウン(かぶせ物)
※ファイバーコア、仮歯は別途費用がかかります。
種類・素材 |
ジルコニア
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e-max
|
ジルコニア
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ハイブリック
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チタン
|
e-max
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選択のポイント |
天然歯のような 美しさと強さに こだわる |
透明感のある 美しさに こだわる |
できるだけ 自分の歯に 近い色調にしたい |
白い歯にこだわる 費用を安く抑えたい |
こだわらない 費用を安く抑えたい |
歯をあまりけずらずに美しくしたい |
審美性 | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ |
精密性 | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
耐久性 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
硬さ(強さ) | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
汚れにくさ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
適用部位 | すべて | 前歯部のみ | すべて | 小臼歯のみ | すべて | 前歯部のみ |
インレー(つめ物)
種類・素材 |
ジルコニア
|
チタン
|
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選択のポイント | 美しさと強さにこだわる |
こだわらない 費用を安く抑えたい |
審美性 | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ |
精密性 | ★★★★★ | ★★★★★ |
耐久性 | ★★★★★ | ★★★★★ |
硬さ(強さ) | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
汚れにくさ | ★★★★★ | ★★★★★ |
適用部位 | すべて | すべて |
【比較項目について】
- 審美性:天然の白い歯の色調や透明感を再現することができる。
- 精密性:むし歯の再発を防ぐために、細かい部分まで精密に適合させることができる。
- 耐久性:腐食や摩耗、色調や光沢、舌ざわり、形態などを長期間維持できる。
- 硬さ(強さ):破折などが起こりにくい。
- 汚れにくさ:表面が滑らかで汚れが付きにくい。
FAQ よくある質問
- 保険診療は行っていますか?
- はい、行っております。保険診療は、すべての国民が同様に行える世界に誇る制度です。しかし、国の制度の中での治療になりますので、精密さや特に素材については制限があります。
- 保険外診療を行えばむし歯になりませんか?
- 残念ながら“むし歯にならない”とは言えません。ただし、むし歯の再発リスクは少なくなります。この小冊子でご紹介した治療は、院長の20年以上の臨床経験から、再治療の可能性が低くなる経験則にもとづいて行っております。さらに、スタッフ一同、再治療にならないよう最善の治療をいたしますが、万が一のために保証制度も設けております。
- あまり歯を削りたくないのですが、可能ですか?
- 歯科医師である私もなるべく歯は削りたくないです。しかし、むし歯は自然に回復するものではないため、削って除去しないと治せません。当院では、適切な診断を行った上で拡大鏡や歯科用顕微鏡を使用し、必要以上に歯を削らないように努めています。