顎が外れたら恥ずかしがらずに歯医者に来てください
あくびなどで口を大きく開けたときに顎が外れた。そんな経験をお持ちの方は意外に多いものです。顎が外れると苦痛を伴うだけでなく、食事や会話にまで支障をきたすため、どうしたら良いのか慌ててしまうことでしょう。
今回は顎が外れたときの応急処置や歯医者での対処法などを吉祥寺のハート・イン歯科クリニックがわかりやすく解説します。
顎が外れたときの応急処置
はじめに、顎が外れたときの応急的な処置について解説します。これは顎が外れた状態を自分で治す、あるいは家族などの周りの人に治してもらう方法で、繰り返しになりますが応急処置でしかなく、症状が改善しない場合もありますので、その点はご注意ください。
顎が外れた状態を自分で治す方法
STEP1.顎が外れている側を確認する
顎が外れるのは、片方だけのことが多いです。まずは、左右どちらの顎が外れているのかを手で触って確認しましょう。外れている側の顎は、痛みなどの症状が強く現れているため、触診をしなくても自覚できる場合があります。
STEP2.顎が外れた側の奥歯に自分の反対側の親指を置く
顎が外れた側が左の場合は、自分の右手の親指を左側の奥歯の噛む部分に置いてください。残った指は、下顎全体を掴むのに使用します。
STEP3.親指を下に向かって押す
お口と全身をリラックスさせた状態で、奥歯の噛む部分においた親指をゆっくりと押し込みます。このとき瞬間的に強い力を加えると、かえって症状が悪くなってしまうため、十分に注意してください。あくまで安定した力を持続的に加えることを意識しましょう。同時に、顎の先を上方に揺り動かすような力を加えると、下顎頭を牽引する力を強めることができます。
STEP4.親指と残りの指で下顎を後方へと押し込む
前段までの処置を維持した状態で、最後に下顎を後方へと押し込みます。親指と残りの指をすべて使ってゆっくりと力をかけてください。その結果、下顎頭が整復されます。
顎が外れた状態を自分で治す注意点
顎が外れた状態を自分で治すには、ある程度のコツが必要です。とくに初心者は、上手く戻せないことが多いので、無理に自分で治そうとはせず、歯医者の力を借りた方が良いといえます。また、顎が外れた状態を元に戻す際には、必ず痛みを伴います。外れた顎を自分で治せたとしても、その後もしばらく痛みが残る点に注意が必要です。
顎が外れた状態を自分で治して、処置を施す前より痛みが強くなったり、不快症状がなかなか治らなかったりする場合は、関節円板がズレるなどのトラブルが起こっているかもしれません。適切なタイミングで歯医者を受診しましょう。
顎が外れる原因と対処法
次に、顎が外れる原因と対処法をご紹介します。
顎が外れる主な原因
原因1.口を大きく開けた
患者さんが口を大きく開けすぎた場合、顎が外れることがあります。例えば、大きなあくびや笑いすぎ、または歯科治療中に無意識に大きく開けた場合などが原因です。特に顎関節が弱い方や噛み合わせに問題がある方は、外れるリスクが高まります。
原因2.転倒や事故などで顎に大きな力が加わった
外的な衝撃も顎が外れる主な原因です。転倒や交通事故などで顎に強い力が加わると、顎の関節がずれてしまうことがあります。このような状況は突然起こるため、予防が難しいですが、特に高齢の親御さんや小さなお子さんは注意が必要です。また、外傷が原因の場合、片方だけでなく両方の顎が外れることもありますので、その点も理解しておくと良いでしょう。
原因3.噛み合わせに異常がある
噛み合わせの異常が原因で、顎に負担がかかりやすく、結果として顎が外れやすくなります。噛み合わせが悪い状態が続くと、顎関節に過度な力が加わり、関節が不安定になりがちです。むし歯や歯の欠損による噛み合わせの不調がある方も、注意が必要です。
原因4.顎関節症を発症している
顎関節症は、顎の関節に問題がある状態で、これが原因で顎が外れやすくなることがあります。顎関節症により、関節周辺の筋肉や軟骨に異常が起こり、顎の動きが制限されたり、外れやすくなったりするケースが多いです。
顎が外れた場合の対処法
顎が外れて痛みが強かったり、自分で元に戻すのが難しかったりした場合は、早急に歯医者を受診することが重要です。特に、頻繁に顎が外れる患者さんは、専門的な治療を受ける必要があります。
ヒポクラテス法
顎が外れて間もない場合、ヒポクラテス法という整復法が一般的に用いられます。この方法では、まず歯科医師がガーゼを巻いた親指を患者さんの下顎の奥歯の表面に置き、他の指で顎をしっかり支えます。次に、親指で下顎を軽く下に押し、後方に押し込むことで顎を正常な位置に戻します。この手技は簡単に見えますが、専門家に任せることで安全に整復されます。
整復後も再発のリスクがあるため、口を大きく開ける動作や固い食べ物を避けることが推奨されます。必要に応じて、オトガイ帽や包帯で顎を固定し、過度な動きを防ぐ処置が行われることもあります。再発が繰り返される場合、頬骨突起形成法や関節結節削除術といった手術が検討されることもありますが、これは歯科医師の判断に基づきます。
顎が外れたら歯医者に来てください
顎が外れた場合は歯医者が治療できますので、まずは歯科を受診するようにしてください。もちろん、上段で解説した応急処置をご自身あるいはご家族が行える場合は、自分で治す方法もありです。ただ、顎が外れる症状が繰り返し起こる場合は、根本的な原因を取り除くか、歯科医院で治療する必要があるため、まずは歯医者に診てもらうのが良いでしょう。
顎が外れた状態は、上手くしゃべれなかったり、不自然な顔立ちになって恥ずかしかったりするかもしれませんが、その点はご安心ください。歯医者を始めとした歯科医院のスタッフは、患者さんの痛みや症状を取り除くことに全力を注ぐだけです。顎が外れた状態を笑ったりするような医療従事者は存在していません。
まとめ
今回は、顎が外れた場合の応急処置や歯医者での対処法について解説しました。顎が外れる原因としては、口を大きく開けた、顎に外傷を負った、噛み合わせに異常がある、顎関節症になったなどの原因が考えられます。症状が比較的軽い場合は、外れた顎を自分で治すことも可能ですが、症状が強かったり、自分で治す自信がなかったりする場合は、恥ずかしがらずに歯医者にきてください。吉祥寺のハート・イン歯科クリニックなら、外れた顎の対処だけでなく、顎関節症の治療にも対応しております。