虫歯じゃないと言われた歯の黒い汚れはどうしたらいいですか?
健全な天然歯は、光沢を帯びた白色を呈しているため、黒い点や変色が認められると不安に感じるかと思います。痛くない場合でもほとんどの方はそれを虫歯と考えることでしょう。そこで歯科を受診して歯の黒い症状を診てもらったところ、虫歯じゃないと言われたと皆さんはどうしますか?実は歯の表面には、虫歯以外の理由で黒い汚れが現れることがあります。
ここではそんな虫歯じゃないのに歯が黒くなる原因や黒い汚れの落とし方、それが虫歯に進行するリスクについて、吉祥寺のハート・イン歯科クリニックが解説します。
虫歯じゃないのに歯が黒くなる5つの原因
歯が黒いのに虫歯じゃないと言われた場合、その原因としては以下の5つが考えられます。
【原因1】ステイン
歯に黒い汚れが認められて、痛くない場合は、まずステインを疑いましょう。ステインとは、いわゆる着色汚れです。コーヒーや赤ワインに含まれるポリフェノールやタバコのヤニなどが歯に付着して黒い汚れを作り出します。歯垢や食べカスとは異なり、歯面のくぼみなどに入り込んで沈着することから、歯ブラシによるブラッシングではきれいに取り除けません。そのため歯の黒い汚れとしていつまでも残り続けてしまうのです。
【原因2】歯石
歯垢が石灰化を受けて石のように硬くなった物質を歯石
【原因3】コンポジットレジンが変色している
過去に、軽度の虫歯をコンポジットレジンで修復した箇所がある場合は、黒い変化が認められやすいです。コンポジットレジンは、経年的な変色が起こりやすいからです。しかもコンポジットレジンによる治療は、いわゆる詰め物・被せ物の形をしているわけではなく、点や丸、楕円形など定まった形態を採っていないため、黒い変化が見られた時に患者さんは戸惑いやすいです。その部位をコンポジットレジンで修復したことを忘れていたら、虫歯じゃないかと心配になることでしょう。
【原因4】歯の神経が死んでいる
外傷などによって歯の神経が死ぬと、歯が黒く変色することがあります。これは歯の神経や血管が分解され、その一部が象牙質に沈着することが原因です。こうした歯髄の失活による歯の変色は、黒い点や黒いシミではなく、歯全体が黒ずんでいくことから、その他の原因とは見分けやすいと言えます。ちなみに、外傷を受けて歯の神経が死んだ時には痛みを感じますが、その後に歯が黒くなる過程は痛くないです。そもそも歯の神経が死んでしまっているため、外から刺激を受けても痛みを感じることはありません。
【原因5】薬剤による副作用
妊娠中や乳幼児期にテトラサイクリン系の抗生物質を服用していると、その成分の一部が歯に入り込んで黒く変色させることがあります。専門的にはテトラサイクリン歯と呼ばれるもので、1本の歯ではなく、複数の歯に見られるのが一般的です。
虫歯じゃない黒い汚れの落とし方
このように、歯の黒い汚れは虫歯じゃないと言われた場合は、5つの原因が考えられますので、まずは歯科医院で診察を受けることが大切です。その上で歯の黒い汚れの原因に応じた落とし方を実践しましょう。

【落とし方1】クリーニング・ホワイトニング
ステインと歯石は、歯科医院でのクリーニングおよびホワイトニングで落とすことが可能です。クリーニングは、歯の表面に付着した汚れを電動のブラシやスケーラーで取り除く処置法で、ほとんどのステインや歯石は除去できます。タバコのヤニに関しては、自由診療で使えるエアフローが有効です。クリーニングで取り除けない黒いステインは、ホワイトニングを活用しましょう。過酸化水素や過酸化尿素からなる薬剤を使って歯を漂白する処置で、しつこい着色汚れも化学的に分解・除去できます。
【落とし方2】コンポジットレジンの再充填
コンポジットレジンの変色による黒い汚れは、修復をし直すことで改善できます。この場合、変色した箇所を表面的に削り、その上からコンポジットレジンを充填し直すことができるため、処置にかかる手間や時間を抑えられます。ただし、コンポジットレジンによる再充填を行っても、再び変色することは間違いないため、審美性を重視するのであれば、セラミック治療に切り替えた方が良いといえます。
【落とし方3】セラミック治療
外傷による歯髄の失活や薬剤による影響で歯が黒ずんでいる場合は、クリーニングやホワイトニングでの改善が見込めないため、被せ物治療が推奨されます。セラミック製の被せ物を装着すれば、将来的な素材の変色も免れることでしょう。前歯が変色しているケースには、ラミネートベニアと呼ばれる、セラミック製のチップを使った治療がおすすめです。
虫歯に進行するケースも考えられます

虫歯じゃない原因で歯に黒い症状が現れても、放置することで虫歯に進行するケースもあります。例えば、歯石は細菌の温床となるため、除去せずに放置していると虫歯リスクが高まります。変色したコンポジットレジンは、素材の劣化が進んでいることから、摩耗や亀裂、破損が認められることも多く、細菌が侵入しやすい状態であることを理解しておきましょう。
歯髄の失活による歯の変色は、根っこの中で感染が起こることがあるので、基本的には根管治療を行うべきです。いずれも歯が黒いにも関わらず痛くないため、患者さんはその状態を軽視しがちですが、時間の経過とともに虫歯へと進行するケースも考えられるため、適切に対処するのが望ましいです。歯の黒い汚れの適切な落とし方は、歯科医院での診察を受けることでわかります。
まとめ
今回は、歯が黒いのに虫歯じゃないと言われた場合の原因や対処法について、吉祥寺駅徒歩3分のハート・イン歯科クリニックが解説しました。むし歯以外で歯が黒くなる原因としては、ステイン、黒く変色した歯石、コンポジットレジンの劣化、歯髄の失活、薬剤による影響などが挙げられます。歯の黒い汚れは、原因に応じて落とし方が変わるため、まずは歯科医院でしっかりとした検査を受ける必要があります。歯が黒い部分が痛くない場合でも、深刻な異常が潜んでいる可能性があるため、放置せずに一度、診察を受けることが推奨されます。