生まれつきの歯の黄ばみはホワイトニングで白くなる?
歯の色は、顔の印象を大きく左右する重要なポイントとなります。歯に黄ばみがあると「不衛生」や「不健康」といったネガティブなイメージを与えかねないため、自分の歯の色を恥ずかしいと感じている人は意外に多いものです。とくに生まれつきの歯の黄ばみは歯磨き粉などで改善することが難しく、どう対処すべきか悩み続けている人もいらっしゃることでしょう。
今回はそんな生まれつき歯が黄ばんでいる原因やホワイトニングなどで改善する方法を吉祥寺のハート・イン歯科クリニックがわかりやすく解説をします。
生まれつき歯が黄ばんでいる原因
食生活や喫煙習慣などによって歯が黄ばむ理由は明確です。それは食品に含まれる色素やタバコのタールがエナメル質に沈着するためです。一方、生まれつきの歯の黄ばみとなると、何が原因なのかよくわからなくなることでしょう。その原因として、主に以下の2つが考えられます。
原因1:エナメル質形成不全
生まれつきの歯の黄ばみの原因として第一に考えられるのは「エナメル質形成不全」です。歯の一番外側を覆っているエナメル質が正常に形成されない病気で、その結果として黄色い象牙質が目立ってしまったり、十分に発育しなかったエナメル質が黄色味を帯びたりします。
このエナメル質形成不全は、妊娠期の全身的な障害・病気によって引き起こされます。以下に挙げるような異常が妊娠中のお母さんに生じると、お腹の赤ちゃんの歯の発育にまで悪影響を及ぼすのです。
- 急性熱性疾患
- 内分泌障害
- 代謝異常
- ホルモン異常
- 栄養障害
- ビタミン不足
- 梅毒
- 遺伝
【ハッチンソン歯】
昨今、メディアでも話題になっている先天性梅毒には、ハッチンソン歯という歯の形成不全が見られます。ハッチンソン歯の場合は、歯の黄ばみだけではなく、形態の異常まで伴うのが特徴です。
【遺伝性エナメル質形成不全症】
ちなみにエナメル質形成不全には遺伝によって発症するものもあります。厳密には「遺伝性エナメル質形成不全症」と呼ばれるもので、アメロゲニンやエナメライシンカリクレイン4などが原因遺伝子として知られています。
原因2:テトラサイクリンによる歯の変色
生まれつきの歯の黄ばみの原因としてもうひとつ考えられるのは、テトラサイクリンという抗生物質による歯の変色です。いわゆる「テトラサイクリン歯」は、妊娠期から生後11か月くらいまでにテトラサイクリン系の抗生物質を服用することで、乳歯の黄ばみが誘発されます。
それ以降の薬剤の服用は、永久歯の歯の黄ばみの原因となる点にご注意ください。つまり、永久歯の歯の黄ばみがテトラサイクリンに由来している場合は、“生まれつき”ではなく、乳幼児期から学童期にかけての薬の服用が原因となっているのです。
テトラサイクリンで歯が黄色くなるメカニズム
テトラサイクリン系の抗生物質は、もともと黄色味を帯びています。それが歯質のカルシウムと結合することで、歯の変色を促すのです。この反応は紫外線が当たると進んで行くことから、成長の過程で歯の黄ばみが徐々に強くなっていく現象が見られます。
生まれつきの黄ばみもホワイトニングで白くなる?
ここまでは生まれつきの歯の黄ばみの原因について解説してきました。その中には生まれた後の行動が歯を黄ばませるケースも含まれていますが、いずれにしても過去にさかのぼってその原因を取り除くことはできません。もうすでに黄ばんでしまった歯の色をどのように改善するか。その方法を模索する方が建設的といえます。
ホワイトニングで改善できることもある
生まれつきの歯の黄ばみは、食品やタバコによる歯の黄ばみとは少し性質が異なります。そのためホワイトニングで正常な白さへと完全に戻すことは難しいです。ただし、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせながら、丁寧に施術していけば、生まれつきの歯の黄ばみの症状を部分的に改善できることはあります。
これは患者さんの歯の黄ばみの重症度によって大きく変わってくるため、「ホワイトニングすれば歯が白くなりますよ」と明言することはできません。とくに遺伝による歯の黄ばみは、ホワイトニングで改善することは困難といえるでしょう。
歯を白くするためのプログラム
吉祥寺のハート・イン歯科クリニックでは、歯を白くするためのプログラムをご用意しております。生まれつきの歯の黄ばみだけではなく、生活習慣に由来する着色・変色も含めて、その改善に全力を尽くします。
クリーニング(治療)
歯のクリーニングは、歯垢や歯石といった細菌の住処となる汚れを取り除く処置です。むし歯菌や歯周病菌を減らせることから、歯のクリーニングは「治療」として位置付けられています。そのため歯のクリーニングは基本的に保険で受けられます。歯垢や歯石は歯の黄ばみの原因ともなっているので、これらをクリーニングで取り除くだけでも見た目は大きく改善します。
PMTC(予防)
PMTC (Professional Mechanical Tooth Cleaning)は、日本語で「専門家による機械的な歯の清掃」と呼ばれる処置です。歯垢・歯石に加え、バイオフィルムやステインなども効率よく除去できます。バイオフィルムは歯の表面を覆っている薄い膜で、その中には無数の細菌が生息しています。ステインは歯の黄ばみの原因となる汚れです。どちらも一般的な歯磨き粉を使ったブラッシングでは取り除けません。ちなみに、PMTCは「予防」に位置付けられることから自由診療となりますが、保険のクリーニングよりも歯の黄ばみを改善しやすいというメリットが得られます。
ホワイトニング
クリーニングやPMTCは、歯の表面に付着した汚れを取り除く処置です。そのため今回のテーマである「生まれつきの歯の黄ばみ」を改善することは難しいといえるでしょう。なぜなら生まれつきの歯の黄ばみの多くは、歯の内部に原因があるからです。ホワイトニングでは、過酸化水素や過酸化尿素といった漂白作用のある薬剤を使用することから、歯の内部に沈着した汚れを化学的に分解・除去できます。
とりわけ歯科医院で行うオフィスホワイトニングと自宅で行うホームホワイトニングを併用する「デュアルホワイトニング」なら、生まれつきの歯の黄ばみを改善できる可能性も高まります。ただし、ホワイトニング効果には個人差があるため、期待した歯の白さが手に入らない可能性も十分にある点にご注意ください。
まとめ
今回は、生まれつきの歯の黄ばみの原因とホワイトニングで白くなるかどうかについて、吉祥寺のハート・イン歯科クリニックが解説しました。生まれつきの歯の黄ばみは、妊娠期の病気や異常、乳幼児期の薬の服用などが原因となります。
そうした生まれつきの歯の黄ばみは、当然ですが歯磨き粉で改善することは不可能です。クリーニングやPMTC、ホワイトニングなどを組み合わせることで改善できる場合がありますので、生まれつきの歯の黄ばみが恥ずかしいという人は、お気軽に当院までご相談ください。
ただ、先天性の歯の変色は、修復治療でなければ改善できないケースも珍しくはなく、クリーニングやホワイトニングで対応できないことも多々あります。その点も踏まえた上で、生まれつきの歯の黄ばみの改善方法を一緒に考えていきましょう。