うまく噛めないと思ったら、迷わず歯医者に来てください
お口に現れる症状といえば、歯が痛い、歯茎が赤く腫れているなど、虫歯や歯周病に由来するものがほとんどです。口腔の2大疾患とも呼ばれる病気で、すべての人にそのリスクがあります。
そんな中で「うまく噛めない」という症状に悩まされている場合は要注意です。なぜなら「顎関節症(がくかんせつしょう)」という、より厄介な病気が疑われるからです。今回はそんな「うまく噛めない」症状が現れる理由や顎関節症を放置するリスク、顎関節症の治療法などを吉祥寺のハート・イン歯科クリニックがわかりやすく解説します。
うまく噛めない理由、顎関節症かもしれません
うまく噛めないという症状は、1本の歯が虫歯になったり、歯周病を発症したりするだけでは現れにくいです。それは咀嚼機能の根本に関わる器官に、何らかの異常が生じていると考えた方が自然でしょう。食べ物を噛む時の支点となる顎関節がそれに当たります。
顎関節症でうまく噛めない理由
顎関節は、頭部と下顎骨を連結する重要な関節で、左右で一つずつあります。厳密には、頭部側の側頭骨と下顎骨の下顎頭の間に関節円板(かんせつえんばん)というクッションが介在することで、スムーズな咀嚼運動が可能となっています。
顎関節症では、この関節円板の位置がズレることで、うまく噛めない症状が現れます。同時に、「カクカク」とか「ジャリジャリ」といった雑音を伴うケースが多いです。専門的には、関節雑音と呼ばれるもので、口を開け閉めしたり、食べ物を噛んだりしている時に、こうした雑音が鳴っている場合は、顎関節症を発症している可能性が高いといえます。
その他、顎関節症では食べ物を噛む時に使う咀嚼筋に痛みが生じたり、顎関節を構成する骨に変形や摩耗が起こっていたりすることでも、うまく噛めない症状に悩まされます。顎関節はとても複雑なので、実際にどのような異常が生じているかは、検査をしてみなければわかりません。
顎関節症になる原因は?
顎関節症の原因としては、悪い噛み合わせ、歯ぎしり、ストレス、TCH(歯列接触癖)などが挙げられます。顎関節症を発症する時は、いずれかひとつではなく、複数の要因が積み重なっていることが多いです。これは「積み木モデル」とも呼ばれるもので、病気を発症する限界点は、患者さんそれぞれの耐久力によって変わります。
顎関節症を放置するリスク
ひと言で顎関節症といっても、進行度は軽度から重度までさまざまです。軽度の顎関節症であれば、積極的な治療を行わずとも症状が改善していくこともありますが、そうではない場合は放置せず、専門の医療機関を受診しましょう。本来、治療が必要な顎関節症を放置していると、次に挙げるリスクが生じます。
【リスク1】痛みなどの症状が強くなる
顎関節症を放置していると、うまく噛めないという「咀嚼障害」だけでなく、口を大きく開けられない「開口障害」、噛む時に使う筋肉が痛む「咀嚼筋痛」、顎関節症の摩耗や変形なども見られるようになります。とくに関節円板が損傷したり、骨が変形したりするような不可逆的な症状は、外科手術を行ったとしても元の健康な状態に戻すことはできないため十分な注意が必要です。
【リスク2】歯や歯周組織にトラブルが起こる
顎関節が正常に機能していないということは、作用点に当たる歯や歯周組織に不適切な力がかかります。その結果、歯の摩耗や破折、歯周組織の炎症をもたらすのです。これらも不可逆的な変化をもたらすことになりかねないため、顎関節症は放置せず、適切な治療を受けた方が良いと言えます。
【リスク3】全身に症状が現れる
顎関節症では、頭痛や肩こり、耳鳴り、めまい、目の奥の痛みなど、全身の症状が現れる場合があります。これは顎関節が広範囲に渡る筋肉と連携していたり、脳や目、耳といった重要な器官と隣接していたりするためです。長年悩まされている不定愁訴の原因が実は顎関節症だったというケースは意外に多いものです。
顎関節症を治すスプリントレーザー療法
顎関節症による「うまく噛めない」「口を大きく開けられない」などの症状は、歯科医院での治療で改善できることが多いです。吉祥寺のハート・イン歯科クリニックでは「スプリントレーザー療法」で顎関節症にアプローチしております。
スプリントレーザー療法とは?
スプリントレーザー療法とは、治療用のマウスピース(スプリント)と医療用レーザーを併用して、顎関節症を治療する方法です。ストレス以外の要因にアプローチして、歯や顎関節への負担を軽減したり、口腔周囲の筋肉を正常な状態に戻したりします。当院ではさらに、筋肉のマッサージ治療であるクリニカルマッサージも実施しております。それぞれの治療法の特徴は以下の通りです。
【スプリント療法】
患者さん専用のマウスピースを作って、睡眠中に装着していただきます。マウスピースは、歯ぎしりによる歯や顎関節への負担を分散するだけでなく、顎を正常な位置に誘導する作用も期待できます。
【レーザー療法】
顎関節症による筋肉の疲労や凝り、痛みなどを医療用レーザーで緩和します。医科の領域でも広く活用されているレーザーを用いることから、安全性を確保した上で、損傷した筋肉の修復などを行えます。
【クリニカルマッサージ】
顎の周りの筋肉に対して、専門的なマッサージを行います。筋肉の疲れや凝りがほぐれることで、顎関節症による症状が緩和されます。
まとめ
今回は、「うまく噛めない」と思った時に疑うべき顎関節症について解説しました。顎関節は、噛む機能の支点となる器官なので、そこに異常が生じた場合はうまく噛めなくなることが多いです。本文でも述べたように、顎関節症の原因はストレスや悪い噛み合わせ、歯ぎしりなど、ひとつに絞ることが難しく、治療方法もケースによって変わってきます。
そんな中で顎関節症の幅広いケースに適応できる「スプリントレーザー療法」は、うまく噛めないなどの症状が強く現れている場合にも有効であることが多いです。そんな顎関節症の診断や治療を希望される方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。吉祥寺のハート・イン歯科クリニックは、顎関節症の診療に力を入れている歯医者さんです。