顎関節症はマウスピース矯正で治しましょう
日本人によく見られる顎関節症。日本顎関節症学会によるとこの病気の潜在的な患者数は1,900万人にのぼると推定されています。つまり日本人の10%以上が顎関節症にかかっているのです。ひと言で顎関節症と言っても重症度はケースによって大きく異なるため、病気を発症していることに気づいていない方も多いのが現実です。
今回はそんな顎関節症になる原因や歯科医院で治療する方法、仕上げにマウスピース矯正を行う利点などを吉祥寺のハート・イン歯科クリニックがわかりやすく解説をします。
顎関節症になる原因
顎関節症を発症する原因には、さまざまなものがあります。その多くは、毎日の生活で何気なく行っている習慣ですが、歯並びや噛み合わせの異常、顎関節の構造的な問題など、器質的な要因も含まれます。臨床的には、この中のいくつかが組み合わさって、顎関節症を発症しているケースがほとんどです。
- 歯ぎしりや食いしばり
- 悪い姿勢
- うつ伏せ寝
- 頬杖をつく癖
- 片側だけで噛む癖
- 過度の緊張やストレス
- 顎の外傷
- 顎関節の構造の異常
- 歯並びや噛み合わせの異常
自分で取り除けるのは?
顎関節症の原因の中には、患者さん自身の努力で取り除けるものがあります。それは悪い姿勢やうつ伏せ寝、片側だけで噛む癖などです。頬杖をつく癖も意識的に改善することは難しくありませんが、それ以外は専門家の力を借りた方が良いといえます。歯ぎしり・食いしばりが原因で顎関節症になっているのであれば「スプリント治療」、歯並び・噛み合わせに問題がある場合は「矯正治療」を行うことで、根本的な解決へと至ります。
顎関節症のスプリント治療とは
顎関節症のスプリント治療とは、歯ぎしり・食いしばりによる悪影響を取り除くための方法です。ナイトガードと呼ばれる透明なマウスピース(スプリント)を就寝中に装着することで、歯ぎしりが起こっても歯や歯周組織、顎関節にダメージが及ぶのを防げます。ナイトガードは比較的硬い素材で作られたマウスピースなので、矯正用のアライナーとは異なり、強度が高いです。歯ぎしりや食いしばりの症状が強い方でも、ナイトガードがしっかりと歯や顎関節を保護してくれます。
また、ナイトガードは、下顎を正常な位置へと誘導する作用も期待できるため、装着を続けていく中で、歯ぎしり・食いしばりの症状そのものも改善されることが多いです。なぜなら歯ぎしり・食いしばりは、下顎の位置が悪いことで誘発されやすいからです。ただし、歯並び・噛み合わせの問題が背景にある場合は、ナイトガードだけで顎関節症を治すことは難しいことから、スプリント治療後に矯正治療を行うのが望ましいといえます。
矯正だけでは治らない?
結果として歯並び・噛み合わせの治療を行うのであれば、対症療法のようなスプリント治療省いて、始めから矯正治療を行った方が効率的で、治療にかかる期間も費用も抑えられるように感じますが、実際はそう単純ではありません。なぜなら顎関節症の症状が強く現れている状態では矯正できないことも珍しくないからです。具体的には、顎関節症における以下のような症状に注意が必要です。
開口障害
顎関節症では、口を大きく開けられない開口障害が見られることがあります。開口障害では、指を縦に3本入れることができない状態となるため、診療にさまざまな制約がかかることから、そのままの状態では矯正できないかもしれません。患者さんも口を大きく開けられないまま矯正治療を始めるのは不安なことでしょう。
下顎の位置のズレ
下顎の位置がズレることで噛み合わせが悪くなり、歯や顎関節に大きな負担がかかっている場合は、その位置を正常化させなければなりません。これは単なる習慣や習癖だけによるものではなく、顎関節も関係していることから、スプリント治療でその状態を安定化させてから矯正治療を始めた方が良い結果が得られやすくなります。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしり・食いしばりは、顎関節だけでなく、歯並び・噛み合わせを悪くする原因にもなります。それを残したまま矯正治療を開始すると、歯が計画通りに動かなかったり、装置を破損させたりするなどのトラブルを招きかねないため、矯正前にスプリント治療で改善するのが望ましいです。
スプリント治療後はマウスピース矯正がオススメです
スプリント治療によって顎関節症の症状が安定してきたら、歯並び・噛み合わせの問題を根本から解決する治療へと移行します。その際、有用なのがマウスピース矯正のインビザラインです。
インビザラインとは?
インビザラインとは、透明な樹脂で作られたマウスピース(アライナー)を装着して、歯並びを改善する治療システムです。インビザラインのアライナーは、Smart Track(スマートトラック)という柔軟性に優れた素材を使用していることから、装着感や着脱性に優れ、歯の移動に伴う痛みも少ないです。歯列への適合性も高いため、歯を効率よく動かせます。そこで生じるのが「顎関節症は矯正で治るの?」という疑問です。
噛み合わせが安定することで顎関節への負担が減る
顎関節症の患者さんの多くには、噛み合わせの異常が認められます。上下の歯列が正常に噛み合っていないと、特定の歯に大きな力が加わり、その影響は咀嚼機能の支点となる顎関節へと波及します。そのため顎関節症は矯正で治ることが多い病気といえるのです。もちろん、スプリント治療で歯ぎしり・食いしばりが改善され、顎関節症の症状も気にならなくなれば矯正治療を行う必要はありませんが、それでもなお顎の痛みや腫れ、カクカク・ジャリジャリという関節雑音が続く場合は、矯正治療で根本的な解決を図った方が良いといえます。
マウスピース矯正がオススメな理由は?
スプリント治療後にマウスピース矯正が推奨される理由は、以下の通りです。
- 装置が目立たない
- 矯正に伴う痛みが少ない
- 装置が粘膜を傷めにくい
- 食事や歯磨きを普段通りに行える
- 大切なイベントの時に装置を取り外せる
- 歯の移動に伴う痛みが少ない
- ワイヤー矯正よりも通院頻度が低い(2ヵ月に1回程度)
- 矯正のシミュレーションができる
- 矯正中にホワイトニングができる
まとめ
今回は、顎関節症をスプリント治療やマウスピース矯正で治す方法について、吉祥寺のハート・イン歯科クリニックが解説しました。顎関節症は、複合的な要因が重なって発症する病気で、対処法はケースによって異なります。その中でも歯ぎしり・食いしばりや噛み合わせの異常が原因となっているケースには、スプリント治療とマウスピース矯正を併用する方法がオススメです。
生活習慣の改善やスプリント治療だけでは改善が見られない顎関節症は、矯正で治ることも珍しくありませんので、顎関節の症状に悩まされている方は、ぜひ当院までご相談ください。顎関節症の症状が強くて矯正できないと診断されたケースでも、吉祥寺のハート・イン歯科クリニックなら対応できるかもしれません。