歯石を放置しても大丈夫ではありません!素直に歯医者に行きましょう

私たちの歯には、主に2つの種類の汚れが形成されます。それは「歯垢(プラーク)」と「歯石」です。この2つは混同されがちですが、似て非なるものであることを強調しておきます。

とくに歯石は放置するとさまざまな悪影響を及ぼすため、放置せずに歯医者で取り除くことが推奨されます。今回はそんな歯石ができる原因や放置すると起こる異変、歯石を安全に取り除く方法について、吉祥寺のハート・イン歯科クリニックがわかりやすく解説をします。

歯垢と歯石の違いは?

はじめに、歯垢と歯石の違いについて簡単に説明します。歯垢は、約80%が水分で構成されている汚れで、残りの約20%が有機質、そのうちの70%が細菌で占められています。つまり、歯垢は水分を取り除くとほぼ細菌で構成されている汚れなのです。

一方、歯石は約80%がリン酸カルシウムで構成されている汚れで、残りの約20%は細菌の死骸やタンパク質、炭水化物などで占められています。歯垢とはうってかわって水分がほとんどなく、リン酸カルシウムを主体とした“石”のような汚れが歯石なのです。これが歯垢と歯石は似て非なるものといった理由です。その他、歯石は歯垢と比較すると以下に挙げるような違いが見られます。

  • 表面がザラザラしている
  • 歯ブラシによるブラッシングで取り除けない
  • 形成されるまでに時間がかかる(後段で解説)

ご自身のお口の中に歯石が形成されているか確認したい場合は、舌で歯の表面を触れてみてください。ザラザラとした不快な感触があれば歯石である可能性が高いです。歯ブラシでブラッシングしても除去できなければ歯石と考えてほぼ間違いないでしょう。

歯ブラシでブラッシング

歯石ができる原因

歯石は、ある日突然できることはありません。なぜなら歯石は、歯垢が石灰化を受けてゆっくりと形成されるものだからです。具体的には、食事から4~8時間程度で歯垢が生じて、唾液に含まれるカルシウムやリンが沈着することで歯石ができます。ちなみに、歯石ができるまでには、2週間程度の時間を要します。

歯石の種類について

実は、歯石にも種類が存在しています。それは歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)と歯肉縁下歯石(しんくえんかしせき)の2種類です。歯肉縁上歯石は、文字通り歯茎(歯肉)の上に形成される歯石で、口腔内に露出しています。歯肉縁上歯石は、黄白色または灰白色をしていて、比較的やわらかいです。

一方、歯肉縁下歯石は歯茎の下に形成される歯石で、肉眼でその全貌を確認するのは難しいです。歯と歯茎の境目にできる歯周ポケットの中で形成されることから、血液が混じって黒褐色となり、比較的硬いです。当然ですが歯肉縁下歯石の方が歯周組織に与える悪影響は大きいといえます。

歯垢、歯石

歯石を放置すると起こる異変

歯石はブラッシングで取り除けないため、特別な処置を施さない限り放置することになります。そこで当院でもよく患者さんから「歯石を放置していても大丈夫ですか?」という質問を受けることがありますが、もちろん、大丈夫ではありません。歯石を放置すると次に挙げるような異変が起こるからです。

歯垢と歯石がたまりやすくなる

表面がツルツルの歯は、歯石はもちろんのこと、歯垢がたまるまでの期間が長いです。なぜなら滑沢な面にはそもそも汚れが付きにくいからです。そこに表面がザラザラとした歯石が存在していると、細菌の住処となって歯垢の形成が早まり、歯石もどんどん増えていきます。これは雪だるまを作る時の感覚をイメージするとわかりやすいかもしれません。

口臭が強くなる

毎食後歯磨きをして、マウスウォッシュや口臭予防のタブレットも活用しているのに息が臭い。そんな時は歯石の有無を確認しましょう。歯石がたまっている状態だと、いくら歯磨きや口臭ケアを行っても細菌の繁殖を抑えることは難しいです。

歯茎に炎症が起こる

歯石は基本的に歯と歯茎の境目にたまります。そこが細菌の温床になると、歯茎が攻撃を受けて歯周病を発症します。歯茎に生じた炎症は、やがて歯根膜や歯槽骨へと波及して、最終的には歯を支え切れずに抜歯を余儀なくされるのです。

歯石を10年放置したケースもある?

当院の患者さんではありませんが、歯石を10年放置したケースは意外に珍しくありません。歯石というのは、それ自体が強い病原性を持っているわけではないので、10年放置しても命に関わるような病気を引き起こすことは稀です。けれども、歯石を10年放置した患者さんのお口の中は、歯周病で顎の骨がボロボロで、複数の歯に重度の虫歯が見られる状態となっており、食べ物をしっかり噛むことさえ難しいです。そうした「口腔崩壊」という状態に至るまで歯石を放置することは絶対に避けるようにしてください。

歯石は自分で取るより、素直に歯医者に行きましょう

ここまでの説明で、歯石がいかに有害な汚れであるかはご理解いただけたかと思います。そうなると次に気になるのが歯石を取る方法です。上述したように、歯石は石のように硬い汚れで、歯ブラシによるブラッシングでは取り除けません。しかし、スケーラーという専用の器具を使えば、削り取ることができます。

スケーラー

スケーラーには「手用」と「超音波」の2種類があり、前者はドラッグストアや100均でも手に入ることから、自分で取ろうと試みる方が一定数いらっしゃいます。それはとても危険なことなので、歯科医師や歯科衛生士からおすすめすることは絶対にありません。

スケーラーを使った歯石取りは、高度な知識と技術を必要とします。そのプロフェッショナルが歯科衛生士なのですが、スケーリングを適切に行えるようになるまでには数年に渡る勉強と訓練を要します。そうした学習のプロセスを経ないで自己流に歯石を取ると、ほぼ間違いなく歯と歯茎を傷めることになります。

しかも100均のスケーラーは、素材や構造が劣悪で、安全にスケーリングするのは困難といえます。ですから、歯石ができたら素直に歯科を受診してください。歯石取りは定期検診の中に含まれた処置なので、費用もそれほど高くはありません。歯のクリーニングやスケーリングを徹底的に行いたいとい方には、自費診療のPMTCが推奨されます。

まとめ

今回は、歯石を放置しても大丈夫かどうかについて、吉祥寺のハート・イン歯科クリニックが解説しました。歯石は歯ブラシによるブラッシングでは取り除けず、100均のスケーラーを使って自分で除去することも難しい汚れです。放置すると口腔内にさまざまな悪影響を及ぼしますので、素直に歯医者でスケーリングを受けましょう。

スケーリングにはそれほど長い時間はかかりませんし、費用も比較的安いです。それでお口のトラブルを未然に防げるのであれば、コストパフォーマンスも極めて高くなります。そんな歯石に対処にお困りの方は当院までお気軽にご相談ください。

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