歯医者の治療中に口角が切れた!器具が当たって痛い!とお悩みの方へ
歯医者の治療中に口角が切れると、話したり、食べたり、口を開けたりするたびに痛みを感じることがあります。多くは、口を長く開けたことによる乾燥や、皮膚への刺激が重なることで起こります。
痛みを我慢せず、その場で歯科医師やスタッフへ伝えることが大切です。今回は、主な原因や対処法、治療後のセルフケア、予防のポイントを解説します。
歯医者の治療中に口角が切れる主な原因
長時間、口を大きく開けている

虫歯治療や根の治療、型取りなどでは、口を大きく開けた状態が続くことがあります。口角の皮膚は薄く、伸びる範囲にも限界があるため、強く引っ張られた状態が続くと、細かな傷ができたり、皮膚が裂けたりすることがあります。もともと口が開きにくい患者様や顎の関節に違和感がある方では、無理に開けようとすることで負担が増しやすくなります。
また、奥歯の治療では器具を入れるための空間が必要です。治療部位が見えにくい場合には、頬や唇をよけながら処置を行うため、前歯の治療より口角が引っ張られやすいことがあります。
器具や手指による摩擦・圧迫
歯科治療では、ミラー、吸引器具、唇や頬をよける器具などを使用します。これらが同じ場所に長く触れたり、口角にこすれたりすると、ヒリヒリした痛みや赤みにつながります。
治療中に器具が当たって痛いと感じた場合、我慢を続ける必要はありません。早めに知らせることで、器具の位置や口の開け方を調整できる場合があります。
乾燥によって皮膚が裂けやすくなる
口を開けている間は唇が乾きやすく、口角の柔軟性も低下します。空気が乾燥する季節、口呼吸の習慣がある方、唇をなめる癖がある方は、とくに影響を受けやすい傾向があります。唾液が口角に付着して乾くことを繰り返すと、皮膚の保護機能が弱まり、亀裂や炎症が起こることもあります。
もともと口角炎がある
治療前から口角が赤い、皮がむけている、かさぶたがある場合には、すでに口角炎が生じている可能性があります。そこへ口を広げる刺激が加わると、傷が深くなったり出血したりすることがあります。
口角炎は乾燥や唾液による刺激だけでなく、細菌や真菌が関係している場合もあるため、何度も繰り返すときは原因に応じた診察が必要です。
唇や口の周りの状態による個人差
同じ治療を受けても、口角が切れやすいかどうかには個人差があります。アトピー性皮膚炎などで皮膚が敏感な方、脱水気味の方、口の周りに合わない化粧品を使用している方は、刺激を受けやすいことがあります。
入れ歯が合わず口元にしわが寄り、唾液がたまりやすい状態も口角炎の一因です。単に器具だけが原因とは限らないため、治療前から症状があったかどうかも診断の手がかりになります。
器具が当たって痛いときはどうすればいい?

治療中にすぐ合図する
痛みを感じたら、手を上げるなど、事前に確認した方法で歯科医師やスタッフへ合図してください。治療をいったん止め、器具の位置、口角の状態、口の開き具合を確認します。患者様が痛みを訴えることは、治療を妨げる行為ではありません。傷を広げないためにも、遠慮せず知らせることが重要です。
口を少し休ませてもらう
長時間の治療では、口の筋肉や顎の関節にも負担がかかります。治療内容に支障がない範囲で休憩を挟み、ゆっくり口を閉じると、口角への負担を軽減できます。ただし、急に口を閉じると器具に触れるおそれがあるため、歯科医師の合図に合わせて動かしましょう。
保護材や器具の位置を調整してもらう
口角にワセリンなどの保護材を薄く塗ったり、ガーゼを挟んだり、吸引器具の向きを変えたりすることで、摩擦を抑えられることがあります。治療内容によって対応方法は異なるため、痛む場所を具体的に伝えると調整しやすくなります。麻酔をしている場合でも、皮膚の圧迫感や引っ張られる感覚は伝えて構いません。
痛みの場所と種類を具体的に伝える
「右側の口角が引っ張られる」「吸引器具が唇の内側に当たる」「開け続けると顎が痛む」など、場所と感覚を具体的に伝えると対応がスムーズです。口角の痛みと、歯を削るときの痛み、噛み合わせによる違和感では対処法が異なります。麻酔が効いているからと我慢せず、小さな違和感の段階で知らせましょう。
口角が切れたあとのセルフケアと注意点

傷を清潔にして保湿する
治療後は、口角を強くこすらず、ぬるま湯などでやさしく清潔に保ちます。水分を押さえるように拭いたあと、刺激の少ないワセリンを薄く塗ると、乾燥や傷の再発を防ぎやすくなります。何度も触る、皮をむく、かさぶたをはがすと治りが遅くなるため避けてください。
傷口をなめない
乾燥すると無意識に口角をなめたくなりますが、唾液が蒸発するとさらに乾燥し、傷が開きやすくなります。食後に汚れが付いた場合は、なめて取るのではなく、湿らせた清潔なガーゼなどでそっと押さえましょう。マスクが傷にこすれる場合は、サイズや装着位置も調整してください。
食事や歯磨きで傷を刺激しない
香辛料の強い料理、酸味の強い食品、熱すぎる飲食物は、傷にしみることがあります。痛みが強い間は、やわらかく刺激の少ない食事を選びましょう。歯磨きは続ける必要がありますが、口を無理に大きく開けず、小さな動きで磨いてください。歯茎や歯の清潔を保つことは、虫歯や歯周病の予防にもつながります。
市販薬を自己判断で長く使わない
口角の傷に見えても、口角炎、ヘルペス、かぶれなど、原因が異なる場合があります。抗菌薬やカビの増殖を抑える薬、ステロイドを含む塗り薬は、原因に合わないと症状が悪化することもあります。薬を使う際は、薬剤師や医師、歯科医師に相談してください。
受診したほうがよい症状
数日たっても改善しない、傷が広がる、膿が出る、強く腫れる、繰り返し出血する場合は、歯科医院や皮膚科などへ相談しましょう。発熱や口の周囲まで広がる赤みがある場合も、早めの受診が必要です。また、口角が頻繁に切れるときは、入れ歯の高さ、噛み合わせ、栄養状態、全身の病気などが関係していないか確認することがあります。
口角の痛みを防ぐために治療前にできること

乾燥や傷があることを事前に伝える
治療前に口角のひび割れ、赤み、痛みがある場合は、受付や診療室で伝えてください。状態によっては保護材を使用したり、口を開ける時間を短く区切ったりできます。痛みが強い場合には、予定している処置の内容や緊急性を踏まえ、治療日の変更を検討することもあります。
唇と口角を保湿しておく
受診前から刺激の少ない保湿剤で唇と口角を整えておくと、皮膚の柔軟性を保ちやすくなります。ただし、診療直前に厚く塗ると器具が滑りやすくなるため、使用方法は歯科医院の案内に従ってください。香料や清涼成分がしみる方は、成分の少ない製品が向いています。
体調や口の開きにくさを共有する
顎が痛い、口を長く開けられない、過去の治療中にも口角が切れた経験がある場合は、最初に伝えましょう。子どもや高齢の方、口が乾きやすい方も、無理のない姿勢や休憩の取り方を相談できます。歯科医師側も、治療時間や使用する器具を工夫しやすくなります。
治療当日のコンディションを整える
水分不足があると、口の周りの乾燥を感じやすくなることがあります。受診前は無理のない範囲で水分をとり、口紅などは落としておくと、口角の状態を確認しやすくなります。
治療が長くなりそうな場合は、途中で休憩できるか確認しておくと安心です。なお、緊張で口に力が入ると唇や顎が疲れやすいため、肩の力を抜き、鼻からゆっくり呼吸することも役立ちます。
まとめ
歯医者の治療中に口角が切れる原因には、長時間の開口、器具の摩擦、乾燥、もともとの口角炎などがあります。器具が当たって痛いときは我慢せず、すぐに合図してください。治療後は清潔と保湿を心がけ、悪化した場合や、症状が長引く場合は受診しましょう。ハート・イン歯科クリニックでは、患者様の状態に配慮しながら、負担の少ない治療に努めています。